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お出かけの続きはグレン・ミラーオーケストラ [音楽]

 1月も下旬に入ったというのに今日は去年の11月の話です。前々回でしたか大津へお出かけしたときの続きがそのままになっていました。

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 11月24日の日曜日、大津市民会館へグレン・ミラーオーケストラを聞きに行ってきました。11月はダイアナ・クラールのコンサートに行ったばかりだったのでずいぶん迷いました。公演一週間ほど前にチケット状況を見たら、ちょうど真ん中の席がひとつだけ空いていたので思い切って申し込みました。

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 大津市民会館はフェスティバルホールなどと比べると地味で建物もずいぶんくたびれて見えます。おそらく入るのは初めてと思うのですが、ひょっとしたら高校生の頃、学校の催しなどで来ていたかも知れません。

 コンサートとは別の市民の催しなどもあるせいか、日曜日の午後の市民会館の狭い入り口ロビーは高齢者でごった返していました。

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 ホールは入り口を入って右手の階段を上がります。その前に左手にあるトイレで用を足しておこうとそちらに向かう途中、見たことがある彫塑があって思わず見上げました。高校時代お世話になったY先生の作品でした。

 私はその頃美術部に属していて同じ彫塑をY先生から学んでいました。この作品は私が美術部に属していたときに先生が制作されていたのでよく覚えています。モデルは同じ美術部のI先輩でした。もうお二人とも亡くなってしまいました。

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 ホールは客席1300ほどのこじんまりしたものでした。椅子もかなりくたびれていてお尻が痛くなりそうなものでした。

 入り口の混雑からして会場は高齢者が多いように思いました。しかし席に座って見回してみると案外若い方たちの姿もありました。私の席の両側も20歳代の男性でした。

 14時半、さて始まりです。右手から制服姿の楽団員が並んで出場してきました。あれ、制服は揃っているけれど小さいなと思っていると、なんと彼らは小学生のブラスバンドでした。

 グレン・ミラーオーケストラの公演に先立って、地元の小学生と大人のブラスバンドの演奏が30分もありました。都会の立派なホールではなく、地方の小さな会場で催されるコンサートです。GMOが地元ブラスバンドへの支援などでこういうことがあるんでしょうね。

 従って開演前に撮ったお決まりのステージの写真は、アマチュアバンドのステージのものでした。演奏の最後は大人と子供の混成ブラスバンドにグレン・ミラー楽団員が三名加わって「ムーンナイト・セレナーデ」が演奏されました。

 彼らの演奏が終わってしばらく休憩がありました。幕の向こうではステージ準備の音がしていました。午後3時、いよいよ待ちに待ったグレン・ミラー楽団のステージ開幕です。

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 (実際に写真は撮れないので、写真はパンフレットから拝借しました)

 幕が上がると背景は鮮やかなブルーにGMOのマークが浮かび上がって、それまでのアマチュアバンドの地味なステージとは対象的な華やかさでした。

 ブルーの背景に金色のGMOのマークがきらめいている様子がMG映画のオープニングに似ていたせいか、近くの女性から映画見たいと言う声が上がってました。

 楽団員の制服ジャケットは写真と違って落ち着いたブルーだったと思います。オープニングはもちろん「ムーンライトセレナーデ」です。誰もが知っているこの曲、聴いただけで浮き立ってくるものがあります。

 中央一人スーツ姿の男性はニック・ヒルシャーです。テンポの良い指揮と司会進行で、「タキーシード・ジャンクション」などおなじみの曲が次々と演奏されていきます。

 テナーやトランペット、トロンボーン奏者がステージ中央に出て来てソロを取ります。ビッグバンドおなじみの風景、そのたびにニックがメンバー紹介します。

 この人は指揮とメンバー紹介、司会をする人だと思っていたら、なんと4曲目「ディス・タイム・ザ・ドリームズ・オン・ミー」で突然歌い出したので驚きました。それがまた低いけれどよく通る声でテンポも良いのです。

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 彼は時々日本語を交えて司会をしていました。日本語が出来ると言うより丸暗記の日本語でしたがサービス精神は旺盛です。しかし、それ以外はもの凄い早口の英語でした。それがまた音楽にマッチしてとてもかっこよかったのです。

 その後、「ノーバディ・エルス・バット・ミー」で今度は女性ボーカリストのが左袖から登場しました。背が高くて綺麗な人でした。

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 声もよく出ていてビッグバンドに負けていませんでしたね。ただ高くよく伸びる声を強調しすぎる歌い方は最後の方ではちょっと退屈してしまいました。


 私は若い頃はピアノトリオやカルテット、クインテットと言った小編成のモダンジャズからジャズに入ったので、ビッグバンド中心のスウィングジャズはあまり聴いていませんでした。

 と言うか、その頃ジャズを聴くのはジャズ喫茶で沈思黙考して聞くような哲学的?スタイルが流行っていました。スイングジャズなどエンタテインメント色濃いジャズは邪道という雰囲気が少なくとも私の中にはありました。

 それでもカウント・ベイシーやアール・ハインズ、メル・ルイス&サド・ジョーンズオーケストラが来日した時は聞きに行っていました。それぞれ楽しく素晴らしい公演だったのですが、本当の楽しさを知らなかった気がします。エンタテインメント色濃いジャズというフィルターが邪魔していたのだと思います。

 それが数年前、京都北山で開かれたアロージャズという日本のビッグバンドのコンサートに行って、その時ゲスト出演していたスェーデンのトランペッター、ペーター・アスプルンドの影響などもあって、ビッグバンドの楽しさをはじめて知ったような気がしました。

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 グレン・ミラーオーケストラはもちろんかの有名トロンボーン奏者、作曲家兼指揮者のグレン・ミラーが創設した楽団です。グレン・ミラーは戦時中に飛行機で行方不明になっているので今の楽団はその意志を継いでその頃のヒット曲を再演している楽団になります。

 そのため演奏スタイルも洗練されていて隙の無い完成されたものです。演奏中トランペットやテナー、トロンボーンのソロが挟まれますがモダンジャズファンとしては短すぎて物足りないくらいです。

 また、このバンドではピアノとベースにソロ演奏はなくて、終始リズム楽器に徹していたのが印象的でした。ビッグバンドならではだと思います。

 トロンボーンやトランペットのセクションがいっせいに立ち上がって演奏する姿はいつ見てもかっこいいものです。ときおり帽子のような形の消音器を操作してユーモアを交えます。

 パンフレットにはグループボーカル:ムーンナイト・セレナーダーと記されていますが別にそういう名前のグループが参加したわけではありません。テナーやトランペットやトロンボーンの奏者が前に出てきてコーラスに参加していました。

 ビッグバンド演奏は理屈抜きに楽しめるところがいいですね。快適なテンポ、いっせいに奏でられるホーン楽器の大音量、こちらの気分を否応にも盛り上げてくれます。多少鬱屈した気分で行ってもすっきりした気分にしてくれる気がします。

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 グレン・ミラーオーケストラ、毎年来日していて今年も来日が決っているようです。

 最後の方で「イン・ザ・ムード」が演奏されると、何か応援歌を聴いているような気分の高揚を覚えてしまいました。

 地元のブラスバンドの演奏などがあったり、通常の公演より長い休憩時間があったりで14時半に始まった公演が終わったのは17時半でした。3時間、案の定お尻が痛くなりました。

 冬至までまだ一月近くあると言うのに外はもう真っ暗でした。帰りは京阪島ノ関駅を利用しないで、大津駅までの坂道を歩きました。広く静かな舗道に店の明かりがほとんどありません。歩いているのは同じコンサートの帰り客ばかりでした。 

 


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