2日目は一人になって懐かしい地を回ろうと思っていたのですが、一緒に宿泊した同級生軍団から、単独行動のお許しが出ませんでした。皆で築地に行ってそこで昼ご飯を食べようと言うことになりました。

 8年ほどの東京生活でしたが、築地は行ったことがありませんでした。私がいた頃の築地は今のような人気はなく、ただの大きな魚河岸で一般の人が気安く訪れる所ではなかったと思います。

 東京に行くにしても、ただ懐かしい地を歩くだけではなく、何か新しい観光もひとつはしたいと思っていたので、築地はちょうど良い観光になると思いました。

 以前の記憶では、築地は銀座の奥の方だったとかすかな土地勘があったので、スマホのナビを使いながら案内することになりました。東京駅、八重洲口から日本橋京橋、銀座と中央通りを歩きたかったのですが、他の意見もあって、初めは裏道を斜めに通って、京橋あたりから中央通りに出ました。

 回りの建物が高くなったせいでしょうか。銀座通りを歩いてみてもなんとなく以前と印象が違うような気がします。道路幅が狭く感じるのです。半信半疑で歩いていると、銀座一丁目の交番があったり伊東屋の看板が見えてきてほっとしました。

 伊東屋、以前来たときよりずいぶん印象が変わっていました。明るくオープンな雰囲気になっています。今年の6月にリニューアルされたところだそうです。

 ティファニーやカルチェには簡単に入れませんので、その隣の伊東屋に皆を誘って入ってみました。1.2階ではおしゃれなカードや封筒などが売られていました。おしゃれで面白そうな文具がありそうで、もっと上階にも行ってみたかったのですが、時間がないので今回はパスすることにしました。

 銀座通りを闊歩する我が同級生軍団です。怖いので顔はモザイクをかけておきます。

 私たちは中学の同級生なので、修学旅行は東京でした。ちょうどこの銀座通りをバスで通ったのでした。その時、車窓から当時の銀座通りの象徴だった三愛ビルが見えました。今も三越角の交差点の反対側に三愛ビルはありましたが、皆それと気づいていません。回りの建物が大きくなって埋もれてしまっているのです。

 三愛ビルのある四丁目の交差点を左に折れて築地方面に向かうことにしました。しばらく歩くと左手に歌舞伎座が見えました。新しい歌舞伎座、もちろん初めてです。

 当たり前ですが、はとバスもおしゃれになっています。

 軍団の一人が歩き疲れたというので、新橋演舞場の前の小さな公園のベンチで小休止と記念写真を撮りました。

 気持ちの良い青空でした。家を出てくる時は長袖も用意していたのですが半袖で十分でした。ベンチに腰掛けていると、大きな車が通るたびに足下が揺れます。ここは元、橋の上なのでしょうか。

 いよいよ築地です。人通りの少なかった銀座通りとは対照的に大勢の人の波です。

 かなり混み合い、入り組んで雑然としています。でもこれが築地の魅力なのでしょうね。移転すると言う話ですが、移転したら綺麗になってしまって、このような雑多な魅力がなくなってしまうのではないでしょうか。

 波除神社、昔は海にかなり接近していたのでしょうね。

 通りに並ぶお店では、海産物の他に松茸なども売られていました。狭い通り、賑わい、ちょっとアメ横の魚河岸版の趣です。我が軍団は通りのこ綺麗なお店には見向きもせず、入り組んだ通路を奥へ奥へと進んでいきます。

 ここが昼飯を食べる予定の寿司屋さんです。しかし、すでに10人前後の列が出来ていました。中はカウンターだけで15人も座ればいっぱいになりそうです。待っている間、同級生同士、馬鹿話をしていました。だから一時間も待ったようには思えませんでした。

 ようやく座ることが出来て、次々に出てくる握りのおいしいこと、1時間待った甲斐がありましたね。ネタが口の中でとろけるようでした。いつも回転寿司しか知らない私にはその差が歴然と分かりました。

 すし処「おかめ」さん、創業60年だそうです。江戸弁が気持ちよい板前さん、話術もうまくて面白く、おいしくて楽しい時間を過ごすことが出来ました。

 同級生軍団の何人かは以前もここへ来ているのだそうです。お店自体は長屋の一角にあって決して綺麗ではないのですが、味は本物だと思います。同じ長屋の並びに「寿司大」という寿司屋さんがあって、そこはいつ来ても長蛇の列の超人気店なのだそうです。

 私一人では築地に来ると言う発想はなかったと思います。来てもこんな奥まではとても来れなかったでしょうし、この寿司やさんも知らなければ、知っていたとしても1時間も待つことが出来なかったと思います。これも連れてきてくれた同級生たちのおかげです。

 私たちは、その後築地の店を冷やかしながら、帰りの新幹線に間に合うように東京駅へ戻りました。そしてコインロッカーで皆を見送って、いよいよ私一人の東京の旅のスタートですが、その話はまた次にすることにします。