日曜の午後、お気に入りの椅子に寝そべるように腰掛けてデクスター・ゴードンを聞いています。私の正面には、お気に入りのスピーカー、JBL4312Dがあります。そしてその向こうにはブラインドを上げた大きな窓、外は五月の光りが溢れていて、すっかり若葉になった桜の葉が風に揺れています。


 今日は、朝から営農組合の田植えの出役でした。暑さが懸念されましたが、野面には気持ちの良い風が吹いていて、屋外の作業には気持ちの良い一日でした。

 田植えと言っても、個人でしていたときと違って、今は大きな圃場に大型機械が導入されています。私たち一般組合員は苗を運んだり、苗を田植え機に渡したりする補助作業をするだけです。


 畦に並べられた苗

 営農の田植えは田植え機のオペレーターや苗箱を洗ったりする人も含めて6.7人で取り組みます。私は例年苗渡し役です。作業自体は単純なのですが、一日立ったりかがんだりの連続、翌日には筋肉痛に見舞われます。

 今日も作業のきつさを覚悟して集合場所に行きました。ところが迎えてくれた田植え機オペレーターのN君がそんな私の心を見透かすように、「そらへいさん、せっかく張り切ってきてくれたんですが、今日は午前中で終わる予定です」と言うではありませんか。「え、それは残念やなぁ」と返しながらも思わず笑みがこぼれてしまい、二人とも大笑いでした。


 水路沿いを走る電車も緑色です

 今年は苗の生育が良すぎて、田植えの進行が例年より一週間早まったのだそうです。午前中に終わるのなら、身体も楽だし昼からはゆっくり出来ます。よしとばかり張り切って作業に取り組みました。

 畦に咲く黄色い花はカタバミ。いつも田植え時期に咲く隣のナガミヒナゲシはもう終わりです。

 私は2月頃から、生活習慣病克服のため少し体重を落としています。おかげで、身体が軽いのです。ストレスなく身体が良く動きます。でもあまりの軽さについオーバーペースになったのでしょうか、2時間ほどしたら身体の調子が少しおかしくなりました。足元の悪いところで踏ん張ったりしたせいもあると思います。軽く立ちくらみが出始めて、少しペースを落とすことにしました。

 体重を落として動きに切れが出てきたのは良いのですが、瞬発力や持久力には悪い影響が出ているかも知れません。それからはだましだまし動きました。気持ちは若いつもりですが、65歳目前、身体は正直です。あまり無理は出来ませんね。


 田植え機は故障もなく順調です。一度に8条を植え、ぬかるんだ圃場の中を走るスピードとは思えない速さで行き、大きな圃場もあっという間に植えてしまいます。

 私たち苗渡し役は、田植機が動いている間に軽トラから苗を下ろし畦に並べ、渡す準備をしておきます。そして、田植え機が畦に戻ってくると、いっせいに苗を渡して田植機に積み込みます。

 今の田植機は多機能で、田植えすると同時に肥料と除草剤などもいっしょに散布します。その補給ももちろん苗渡しと一緒にしなければいけません。

 大きい圃場ですと苗の積み込みに時間はかかりますが、一度植えに出て行くとしばらく帰ってこなくて、その間少しだけゆっくり出来るのですが小さな圃場はすぐ帰ってくるので休む間もなく苗の補充をしないといけません。

 何とか午前中に作業を終えてしまおうと、後半の作業はかなりタイトでした。休む間もなくと言う言葉が当てはまるのですが、その後、体調の異変もなく、何とか午前中で作業は終わりました。

 今年の田植えは今日で終わりです。私たち出役者は、やれやれと自転車を置いていた所に戻りました。自転車の前カゴにはペットボトルのお茶を入れたナップザックがあったのですが、お茶を飲むのも忘れていました。

 口々に後半はきつかった、あのペースで一日作業したら、持たなかったなぁ、などと語り合いながら、それぞれ自転車に乗って家路に着きました。