9月16日、WBCバンタム級世界チャンピオン山中慎介選手の応援にエディオンアリーナ大阪(大阪府立体育館)へ行ってきました。地元からバスが7台出ていて、私たち同級生もそのうちの1台に乗り込みました。

 今回同級生応援団はこの前の京都の時より少なくて、総勢10名あまりでした。同級生と言っても、断るまでもないことですが、慎介選手の父親と叔父の中学校の同級生です。慎介選手の父親と叔父は双子です。

 ちょうど去年の今頃、私は慎介選手の応援をかねて数十年振りに上京したのでした。早いものであれからもう一年が経ったのですね。

 このときの対戦相手が今回の対戦相手でもあるアンセルモ・モレノ選手でした。さすが東京でのタイトルマッチ、リングサイドには具志堅用高や村田選手を始めスポーツ選手、芸能人など有名人がたくさんいました。

 この試合で慎介選手、初めてと言っていいくらいの大苦戦でした。点数でも途中で逆転されていて、終盤は会場全体が慎介コールで沸き返るほどでした。何とか判定勝利をもぎ取りましたが、私は負けか良くても引き分けを覚悟したほどでした。

 このときの、もやもやした思いはどちらにもあって、慎介選手は今度こそきっちり決着させたいと思ってトレーニングを積んで来たでしょうし、モレノ選手も同じ思いで日本にやってきたと思います。

 バスを降り会場近くの飲食店で少し腹ごしらえをして、会場入りしたのは六時半頃でした。長谷川穂積選手の試合が始まる前で会場はまだ空席が目立ちます。

 こちらは自分の席から見下ろしたところです。指定された席はGゾーンのg54とかだったと思います。わかりにくい席の表示でした。元々が体育館だから仕方ないのかも知れません。冷房も効いて無くてむっとしていました。

 私たちの席の周りは地元応援団で埋められています。テレビカメラなどが向かって左にあり、試合前後のセレモニーなどはカメラのある方向を向いて行われていました。

 この日は、先に長谷川穂積選手とウーゴ・ルイス選手のスーパー・バンタム級のタイトルマッチが組まれていました。長谷川選手は負けたら引退覚悟のリングでした。

 長谷川選手は防衛10回した元チャンピオンですがタイトルを逃してからはあまりぱっとしなくて、一昨年の大阪城ホールでも慎介選手の前に試合があったのですが、その時は気の毒なくらいぼろ負けでした。

 今回はこの前の試合より動きは良さそうでした。一度ロープに追い詰められる危ない場面があったのですが、そこを乗り越えると、今度は相手が戦意を喪失してしまってTKO勝ち、見事35歳で3階級制覇の偉業です。

 勝利の挨拶をする長谷川選手、この後、息子さんに抱き上げられるというシーンがありました。


 

 長谷川選手のタイトル奪取で沸き上がる会場に、いよいよ慎介選手の登場です。勝者長谷川選手からエールを送られて気合い十分の表情です。

 開始のゴングとともに、前回の東京での試合に比べて互いの距離が近く、始めから打ち合いでした。2戦目と言うことでお互い探り合う必要がなかったということでしょうか。

 慎介選手がいきなり三発ほど連続してパンチを食らう場面があり、これはやばいのかなと思いましたが、ラウンドの終盤、今度は慎介選手の左が炸裂してダウンを奪う場面がありました。このラウンド、この試合を象徴するかのように慎介選手の逆転です。

 その後、試合は一進一退、どちらも打ち合い、今度こそ決着を付けるという意気込み溢れるナイスファィトの展開です。

 慎介選手の右が相手を捉えているように見えます。300ミリの望遠レンズで撮ったのですが、何とか被写体の動きがぶれないようにと、シャッタースピードを上げたりIOSあげたりしたら、暗くかつ粗い画像になってしまいました。

 これは慎介選手が必殺の左を相手のボディに打ち込んでいるように見えます。

 これも左を打ち下ろしていますが、相手の後頭部だからいけませんね。それともモレノ選手がディフェンスしているところでしょうか。

 モレノ選手がクリンチで逃れているところです。誰かの試合と違って、クリンチの場面それほど多く無かったのですが、時々ありました。これもテクニックのひとつ、ある程度は仕方ないですかね。

 4回でしたか、慎介選手がモレノ選手の右パンチを食らってダウンする場面がありひやりとしました。そう言えば、前回の京都での試合でも、3ラウンドでしたか二度もダウンするシーンがあって大いに心配したものでした。

 どちらもダウンを一度ずつ奪い合って5ラウンド、中間発表の点数はわずかに慎介選手の方が優位でしたが、試合の流れはモレノ選手に傾きつつありました。

 それを一発逆転したのが6ラウンド、やはり左の必殺パンチでした。まともに食らったモレノ選手はリングの中央からコーナーまで吹っ飛びましたね。

 このとき、会場にいた私は一体になって興奮していたので判らなかったのですが、あとからYouTubeで試合の実況中継を見てみると、うぉーっと沸き上がる歓声の凄さに驚きました。

 打ち合い、お互いにダウンを奪い合う面白い展開になってきました。はじめのうちは試合に夢中でラウンドガールを撮るのを忘れていましたが、これはいつ決着着くか判らないと思い、5ラウンド頃から慌てて撮りました。コマーシャル会社の専属なのか、ここ数試合、ずっとこのモデルさんですね。

 さて、運命の7ラウンドでした。会場は前ラウンドで奪ったダウンで圧倒的に優位に立った慎介選手の、今度は決定的なノックアウトシーンの予感で盛り上がりきっています。

 モレノ選手、いくらダウンを喫しても立ち上がってくるのはさすがです。モレノ選手は42戦 36勝 (12KO) 5敗 1分と言う戦歴の中で一度もノックアウト負けを喫したことがありません。写真はラスト、モレノ選手をコーナーに追い詰めていく慎介選手。レフェリーが邪魔ですね。

 この後、モレノ選手はコーナーに追い詰められ、フィニッシュの左を食らってコーナーに落ちるように沈みます。

 

 沸き上がる歓声、コーナーポストに飛び上がってコブシを突き上げる山中慎介チャンピオン、その後、セコンドに肩車されてリング内を回るとき、このときだけ彼は我々地元応援団の方を向いて何度も雄叫びを上げコブシを突き出していました。

 ここ2試合、やや不本意な判定勝ちが続いたので今回のノックアウト勝ちは本人はもちろん私たちも本当にすきっとしましたね。ましてや相手は前回苦戦したWBC1位、WBA12回防衛の元チャンピオンですからね。この勝利は文句なしという所でしょうか。

 ネットでも今回の勝利は今まで以上によく取り上げられています。長谷川選手と山中選手のこの日の試合のどちらかが今年の年間ベストに選ばれるのではないかとも。

 また、この試合の勝者にはアメリカのボクシング雑誌「リング」からバンタム級の最高選手の証明であるベルトが授与されると言うことで、慎介選手が同時に二つのベルトを獲得しました。こういう栄誉は同じチャンピオンでも箔が付きますね。

 勝利の瞬間、観客がいっせいに立ち上がってコブシを突き上げている写真と思ったのですが、よく見ると皆さん、カメラやスマホを持ち上げて勝利者表彰のセレモニーを写しているのでした。私もなぜか一眼レフではなくスマホで撮っています。

 この後は、お決まりの同級生軍団による祝勝会、大阪の夜の街に繰り出していきました。途中合流した慎介選手の父親に「本当におまえの子供か」と思わず言ってしまいました。ちなみに彼は中学校の頃、やんちゃなサッカー小僧でしたね。