京都を走り出してしばらくすると新幹線の車窓に息吹山が飛び込んできました。車窓いっぱいに見えたのは、雪を戴いていたからでしょうか。上の写真は少し遠ざかってからスマホで撮ったものです。

 2月28日、山中慎介選手を応援するため上京しました。それだけなら3月1日で良かったのですが、例によってせっかく上京するなら東京を楽しみたいと思い一日前乗りです。


 富士も何とか見えました。空はあいにくの曇り空です。明日は雨の予報、そう言えば去年3月の試合も同じ両国国技館で雨の日でした。

 新幹線がスピードを落として東京駅へ滑り込んでいきます。若い頃、いろいろな思いを胸にこの瞬間を迎えたものです。あの頃、東京に来るのではなく東京に戻るのでした。

 中央線に乗って、四ッ谷に向かいました。東京ブックマークで予約してあるホテルに向かうには、地下鉄の方が便利だったのですが、まずジャズ喫茶いーぐるに寄ってからホテルに回ることにしました。

 

 3年前に来た時はGPSに惑わされて探しましたが、今回は迷わず行くことが出来ました。壁にはめ込まれたJBL4344 MarkⅡ、相変わらずご機嫌な音で鳴っていました。

 お昼時、ちょうどお腹が空いていたので前回食べておいしかったパスタを頼みました。3年前は帰る日でした。ゆっくりしていたら、妻から電話が掛かってきて何時に帰ってくるのか催促され慌ただしく席を立ったのでした。

 今回は今日が初日、時間はたっぷりあります。新幹線からここまでの疲れもあったのでゆっくりしました。ジャッキー・マクリーンのアルトサックスが気持ち良かったです。



 四ッ谷からホテルまで少し距離がありましたが歩きました。チェックインを済ませ室内で荷を下ろすと、なんだかほっこりしてしまって少し寛いでしまいました。

 慎介選手の応援以外に、去年、再会した友人夫妻と今度はゆっくりお酒でも飲みながら来し方のことなどを喋りたいと思っていたのですが、28日は向こうに先約があって会えなくなってしまったのです。

 27日を提案されましたが仕事とブックマークの予約に縛られて変更は不可能でした。その落胆が今回の東京行きに少し影をもたらしていました。


 地下鉄に向かう通り沿い、東京ガーデンテラス紀尾井町、この古い洋館は何というのでしょう。夜はライトアップされてました。向かいには麹町中学があり、静かな通りに時折きれいな車が行き交っていました。


 歩道橋から見下ろした首都高速4号線と青山通り

 とは言え、せっかく来た東京です。楽しまないわけにはいきません。行き先にいろいろな候補があり迷いましたが、久し振りに渋谷に出てみることにしました。渋谷はこの三度の東京詣で一回も行っていません。と言っても私が行くところはジャズ喫茶くらいしかありません。



 メアリー・ジェーンです。渋谷で古くから残っているのはここ一軒だけかも知れません。1972年創業だそうです。私は24.5歳の頃行った記憶があるのですが、その頃はまだ新しいお店だったのです。





 店内は私の記憶では明るくて、もっと広かったように思うのですが、実際はこじんまりして年月の渋みが出た佇まいになっていました。二階の窓のある風景に記憶が蘇ります。



 渋谷は工事だらけとは聞いていましたが、駅を降りたとき自分がどこにいるのかわかりませんでした。幸いメアリー・ジェーンは駅から歩いて5分ほどの近くにありましたが、もう一軒は遠そうです。

 ぐるぐる歩いてやっと大盛堂書店の看板を見つけました。それにしても渋谷の賑わいは凄いですね。スクランブル交差点で待っていて、信号が変わると向こうから一団の人がいっせいにやってきます。軍隊が押し寄せてくるような錯覚を覚えました。

 中心街のきらびやかなネオンサインと人の群れから次第に遠ざかって、薄暗く人通りがまばらになった通り沿いのビル4階に渋谷SWINGがありました。





 以前あった渋谷スイングとは関係の無いお店だそうです。落ち着いた緑に統一されたいい雰囲気のお店でした。マスターは大柄でまだ40歳前後の若さに見えました。私が頼んだコーヒーを時間をかけて丁寧に入れてくれたのが印象的でした。

 先客は女性が一人、その客が帰ったと思ったら若い男性客が二人、別々に入ってきてカウンターに座ってお酒を注文しました。一人は馴染みのお客なのか、マスターはお喋りしながら注文されたお酒を丁寧に作っていました。

 私もお酒を飲んでも良かったのですが、次があるのでコーヒー一杯だけにして出てきました。そのお店が駅から思ったより遠かったので時間を食ってしまいました。

 慌てて渋谷駅に戻り、山の手線で新宿へ。さすがに新宿は昔の庭、すぐに東口に出て前回行けなかったカレーの店ガンジーへ直行です。



 ご飯時は過ぎていたのですが賑わっていましたね。窓辺の端っこの席でビーフカレーを食べました。濃厚で後から辛みがじわっと効いてきました。

 新宿に来たのならDUGにも寄りたかったのですが、時間が無いので今回はガンジーだけにして再び電車に乗って新橋に向かいました。


 向かったのはこちらです。ライブスポット銀座シグナス、ブログでお付き合いしているジャズピアニスト小野孝司さんが出演されているので、行ってみることにしました。



 着いた時間が遅かったのですでに第二部が始まっていました。ピアノトリオにバイオリンとチェロの弦楽器が加わった珍しい構成のクインテットです。入った時、枯葉の演奏の途中だったと思います。

 ジャズを聞きに来たのにバイオリンとチェロの音色にうっとり、ピアノトリオだけの演奏もあって何度もおいしいライブでした。



 水割りをいただきながら久し振りのライブにうっとりしていました。この夜はセロニアス・モンクの曲が多かったように思います。

 MCは小野さんでした。私の席は小野さんの真後ろでした。ひとつ上の写真で言うと、画面左端、ピアノの前で右肩だけが見えている方です。

 お店は高級感があって、ライブが楽しめるゆったりした広さがありました。客席にはジャズ喫茶と違って女性客が多かったのも印象的でした。

 演奏が終わって、帰りがけ小野さんに声をかけようかと思いましたが、美しい女性とお喋りされていたので遠慮して新橋の街に出ました。

 さすがサラリーマンの街、舗道に溢れるネクタイ姿の酔客、道路にはそんな客を待つタクシーの列です。お店からきれいなドレスや着物を着たお姉さん方がお客を見送りに出ていたりして、ちょっと華やかな雰囲気、普段はなかなか歩けないところです。



 当てずっぽうに歩いていたら銀座に出ました。10時過ぎ、まだどこかに行けそうでしたが明日は愼介君の試合です。地下鉄に乗ってホテルに戻りました。ホテル前にあるコンビニで酎ハイとアテを買い込んで部屋で一杯、私の東京の初日は終わりました。



 今日のEErroll Garner(エロール・ガーナー)です。彼は楽譜が読めず独学でピアノを習得したそうです。
 曲は彼自身が作曲した名曲Mistyです。ナイトクラブで恋人同士が語らいあっているシーンに流れているようなムードのある曲ですね。