なかなか蕾を膨らませなかった我が家の桜、ここ数日の暖かさで一気に膨らみました。そして今朝、まだ蕾が多いですがこれだけ咲いていました。
昨日の夜から今日にかけて雨です。しかし雨脚は弱くしかもまだ咲き始めなので花散らしの雨にはならないと思います。私たちのところでは10日が小中学校の入学式、ちょうどその頃満開になるのではないでしょうか。
さて、月は変わり桜が咲いて季節はどんどん進んでいますが、3月初の東京での話、もう少しお付き合いください。今日で何回目になるのか、よく考えるとまだ初日の続きです。
ナルシスを出ると外は雨でした。歌舞伎町のイルミネーションが雨ににじんでいます。新宿の夜はまだまだこれからなのですが、目的の店と人に会えた私にはもう歌舞伎町に用はありません。
と言うか田舎者には長居禁物のところに思われ、通りに出ると逃げるようにゴジラストリートを駅の方向に歩き、途中靖国通りで左に折れました。
このお店のショーウインドウの前を通ったとき少し空腹を覚えました。7時過ぎです。「十割蕎麦 冷麦 嵯峨谷 歌舞伎町店」ずいぶん長い店名です。
東京に来たら蕎麦を食べたいと思っていました。一見、本格的な蕎麦屋さんの店構えに思えて入ったのですが、中に入ってみると意外や、食券の販売機がありました。関西にはありませんが新宿にはたくさんの支店のあるお店なんですね。
久しぶりに食べる東京の蕎麦はおいしかったですね。蕎麦をすすりながら、今夜しかない自由に過ごせる東京の夜をどう過ごすか思案していました。上京する前にいくつかのパターンは考えていたのですが。
そのうちの「DUG」と「ナルシス」にはすでに行くことが出来ました。夜はやはりライブ演奏を聞きたいと思ってましたが、六本木にある「ブルーノート」は一人で行くには敷居が高く、値段も高そうです。
ブログでお知り合いになったピアニスト小野孝司さんが出演されている銀座シグナスは場所のわりにリーズナブルな値段が設定されています。
しかし来る前に調べたスケジュール表では小野さんは3月2日出演予定でした。その日は本来の目的である山中慎介選手のタイトルマッチがあるので、これは残念ながら没になりました。
あと高田馬場のジャズ喫茶「イントロ」、渋谷のジャズ喫茶「メアリージェーン」、日暮里の「シャルマン」など懐かしい店にも行ってみたかったのですが、雨の中その時間から電車に乗って行くのが億劫に思え、新宿に昔からあるライブスポット、PIT INNに行くことにしました。
そこからPIT INNのある二丁目まで多少距離があります。雨脚は思ったより強くそのままではずぶ濡れになってしまうので、コンビニに寄って安い傘を買う事にしました。
レジに傘を持っていくと、レジの後ろの棚にたくさんの煙草が並んでいるのが目にとまりました。カウンターには使い捨てライターも置いてあります。
私は元々ヘビースモーカーでした。2008年5月12日四川大地震の日に禁煙して以来、ほぼ九年間、禁煙してきました。ただ、数年前から同級生の集まりでお酒を飲んだときだけもらい煙草をするようになりました。初めはほんの1.2本でしたが最近は3.4本に増えつつあります。
DUGで無性に煙草を吸いたいと思ったことを思い出しました。ナルシスでもママさんがおいしそうに吸っているところを見て、しまった煙草を買ってくるんだったと思いました。
傘を買うついでに、東京限定と言うことで思い切って煙草を買う事にしました。煙草を止めて9年経つ間に銘柄がすっかり変わって何を選んで良いのかわかりません。とりあえず職場の同僚が吸っているメビウスしましたが、その中にもいろいろ種類があって戸惑いました。
PIT INNは何度も移転を重ねているライブスポットです。現在は新宿二丁目にありました。五丁目にある今夜の宿とはつい目と鼻の先です。ここなら多少遅くなっても大丈夫そうです。
PIT INNに入るのは今回で三回目か四回目だと思います。二丁目のこのお店に入るのは初めてでした。
一番最初は紀伊國屋の並びにあったそうで、若き日の渡辺貞夫や日野皓正が情熱を燃やしていた伝説のライブスポットです。私が初めて行った1970年代初めの頃、紀伊國屋の並びはジャズ喫茶「サムライ」になっており、PIT INNはその反対側の道路に面した一階に移転していました。サムライとPIT INNは同じ経営者だったと思います。
その頃のPIT INNには、二度ほど入ったことがあります。薄暗い店内しか記憶がないのですが、一度目は無名のグループ、二度目は向井滋春クインテットでした。
それから道路を挟んで向かい側に移転したのだったと思います。その後、いつ二丁目に移転したのか知りません。二丁目でもずっとここだったのかどうか、ともかくよく移転するお店です。
今夜の出演者欄になんと山下洋輔さんの名前がありました。
劇場のように正面にステージが設けられ、ステージに向かって客席がきちんと並べられています。私はそんなにいくつもライブスポット巡りしたわけではないのですが、こういう配置の店は初めてでした。
ワンドリンク付きだったので、ハイボールを頼みました。灰皿も用意されていたので先ほど買った煙草を取り出しました。すると店員が飛んできて、なんとこの夜は出演者の意向で禁煙になっていると告げるではありませんか。DUGでもナルシスでも自由に吸えたのに煙草持ち合わせてなくて、やっと用意したら吸えないとは皮肉です。
山下洋輔さんは国立音楽大学出身だそうで、その縁なのでしょうね、国立音大の学生たちにジャズを教えているのだそうです。最初のステージはその教え子たちの演奏でした。
二部なると、教え子の中からプロになった人たちの演奏になりました。やはり演奏の質が学生さんたちとは違いますね。三部のステージでようやく山下洋輔さん登場です。
すらっとしておしゃれなお爺さんと言った感じでした。74歳ですが若々しくて後期高齢者直前の方には見えません。
山下洋輔さんを交えたいくつかのセッションのあと、最後に今まで出演していた人たちでジャムセッションが始まりました。賑やかでエキサイティングで楽しかったですね。
山下洋輔さんというと、肘で鍵盤を叩く前衛的な演奏を連想するのですが、それは昔の話なんでしょうね。年齢を感じさせない強いタッチとエネルギッシュな演奏が印象的でした。
山下洋輔さんは、売り出しの頃のタモリさんと縁があるのだそうですね。芸能界では有名な話なのでしょうが知りませんでした。
それから、最近知ったのですが、私が初めて入ったジャズ喫茶「びざーる」、若い頃のビートたけしさんがアルバイトしていたのだそうです。昭和42年の頃のことなので、私が行った時とはずれていますね。
ライブが終わったのが11時過ぎでした。新宿の夜は暮れないのでしょうが、私はくたびれを覚え降りつづく雨の中ホテルに戻ることにしました。
部屋は、禁煙室を予約したはずなのに灰皿が用意されていたのをチェックインした時、確認していました。 格安ホテルの狭いシャワールームでとりあえずシャワーを浴びて、帰り道コンビニで買った缶酎ハイを飲みながら、久し振りに煙草を燻らしました。と言っても、もう深く吸えなくて、ふかすだけなのですが。
山下洋輔さんの「グリーンスリーブ」YouTubeでは埋め込みが無効となっていますのでリンク先をコピーしておきます。